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違いの分かる男(ダバダー♪)

総務部長の黒田です。

 私は小学生から書道をやっていたのですが、美術ではなく字の練習が目的だったので、いわゆる書家や書道家として著名な人の作品を見ても、変な字だなぁと特に感動することがありませんでした。それよりむしろ、ずっと一緒に書道教室に通っていた幼馴染の小川君の、ちょっとだけ癖があるけどダイナミックな字の方(実際とても上手い)がよっぽど良いなと思っていました。

 書家のくねくねした字(?)や、書道家のよくわからない崩れたオリジナルの書体に美学を見つけることが出来なかったのです。そんなわけで、自分には美術としての書を見る目がないと思っていました。

 時は過ぎ大人になったある日、テレビで新鋭の若手書道家として武田双雲という書道家が紹介されていました。そして彼の作品がいくつか並べられていましたが、その書を見た瞬間にものすごい衝撃が走りました。もう目が離せませんでした。それはただただ美しく、まさに一目惚れでした。一見無造作に崩れているようで、実は計算されつくされた様式美のようなものを感じ、自分の中の美学がそれにビンビン反応しているのが分かりました。
まさか自分が書で感動できる日が来るとは。と、感じたと同時に・・・

ああ、これだ、私はこれを待っていたのだ・・・という運命的なものを感じました。

武田双雲の書を見ていると、本当に心が落ち着きます。
しばらくして、また別のテレビで、どれが武田双雲の字でしょうか?という、同じ漢字の書を並べてその中から武田双雲の書を当てるという企画がありました。

あ・・・分かる・・・これは3番が武田双雲の書に違いない。

いじわるにも武田双雲を上手にまねた書も混ざっていましたが、何がどうかと言われてもうまく表すことが出来ないのですが、3番だけは特別な感情が湧いてくるのです。似ている他の書にはそれがない、何も感じない。
かといってそんなに自信があるわけじゃないのですが、私の感情は3番の書に反応していました。

司会者「はい、では正解の発表です! 正解は・・・3でした!」

 この瞬間、私は「違いが分かる」という感覚を理解しました。私の場合は武田双雲の書だけですが、きっと美術の専門家の人達は長年の知識と経験で様々な作品にたいしてこのような感覚をもちあわせるだけでなく、言葉で説明できるほどに研鑽を積んで来たのでしょう。それまで私は「なんでも鑑定団」の鑑定結果が半信半疑だったのですが、鑑定員がただ結果を出すだけではなく、ちゃんと解説していることに改めて畏敬の念を抱くようになりました。中島誠之助が偽物に対して辛辣なのも、安河内眞美が本物を解説する時に見せるにこやかな表情も、本当に美術が好きだからこそなんだろうなと。

 それ以来、武田双雲をネットで漁っていますが、最近また気になる書道家が出てきました。武田双雲を初めて見たときに近い感覚・・・どうやら、私好みの作風が近年の若手書道家の間で意図してかそうでないかは不明ですが流行ってるっぽい気がします。

これは!

ようやく時代がワシに追いついたということか・・・(笑)

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