総務部長の黒田です。
何年か前に、同じ文章でも本を読むのと画面で見るのでは脳の反応する部分が違うという研究を紹介していた記事を読んだことがあります。
その記事は、やっぱり読書は大事みたいなオチになっていました。
それにしても不思議なものです。情報としては全く同じなのに、紙で読むか画面で読むかで脳の反応が違うなんて。
でも、理屈抜きにそれに納得せざるを得ない心当たりがあります。
私はスポーツは競技場ではなくテレビで見る方が良いと思っている影響で、コンサートや舞台においても、テレビやDVDで見る方が良いと思っていました。音も映像も整えられてるし、カメラが間近で適切なシーンを映してくれるし、球場に行って遠くの席から米粒みたいな選手を高いお金を払ってなぜ観に行く必要があるのかなと。
ある時、取引先の元バンドマンのおじさんに誘われてライブハウスに行きました。
その日は別に有名人が来ているわけでもない普通の日でした。仕事帰りのサラリーマン客同士が、ささっと打合せして即興で演奏を始めました。
その曲を知っている別の客が飛び込んでボーカルとなり1曲終えると大拍手でした。
その時、私の中でなにかががらりと変わりました。
楽譜もないのに初対面同士がイメージだけで合わせて1曲できるという素晴らしさ!
そこの音響設備はオンボロでしたが、設備がどうとか、演奏がうまい下手とかはあまり関係ないことだと。
これぞまさにライブの真骨頂だよねとオタクな私はいたく感動したものでした。
実際、コンサートに足を運んでみると、歌手が多少距離は遠くとも、その場で歌ってる姿を目の当たりにすると、テレビで見た同じ人、同じ曲にも関わらずまったくちがった感情が湧き出てくるのです。
舞台も一緒です。リアリティのかけらもない狭い舞台の上の、いかにもな張りぼてのセットをバックにしても、演じている俳優からは見た目ではない何かが深く刺さります。テレビで見るドラマとは違うものがそこにありました。
数年後・・・まさかライブハウスで初対面の即興バンドに合わせて熱唱する自分がいるとは想像もできなかったことです。。(笑)
DVDでライブを見ても、楽しかったという気持ちにはなりますが、マイナスがゼロに戻ったという感じです。しかし、舞台やライブに行ったり熱唱したりすると、なぜだか明日も頑張るぞとやる気が出ます。明らかにプラスの掛け算のごとく突き抜けています。
人は実物とそうでないものの違いを本能的に識別しているのかもしれません。
コロナ禍をきっかけに、人との関わりがリアルからZoomやTeamsなどのリモートのツールにシフトされていますが、画面では伝わらないものがまだ沢山あるんだろうなと、改めて思いました。