総務部長の黒田です。
総選挙の話題で連日ニュースを賑わせた兵庫県の斎藤前知事の出直し選挙がすっかり霞んでしまいましたが、先日アップした「優秀な人材があっという間に辞めていく職場」の記事を思い出さずにはいられませんでした。
当初、この問題は単なる困ったパワハラ知事として広まりました。知事も知事で指摘に対する答弁もあやふやではっきりしないこともあり非難が集中しました。さらにはそんな状況でも当の知事本人は何が悪いのかサッパリわかっていないという印象の言動を繰り返しており、遂には支持政党からも見放されて不信任決議となり失職しました。
これだけ聞くとただの無神経な傲慢知事がクビになったようにしか見えません。
しかし、この問題の追及が進むにつれて、「いやいや何言ってるのよ。パワハラだの言い掛かり付けてるのは旧態依然の既得権益をぶっ壊されて冷や飯食わされた連中だよ。斎藤知事がどれだけ県政を改革してくれたと思ってるのよ。」という擁護する声が上がってきました。
実績を見ると、確かに兵庫県知事として掲げた公約の達成と着手率が98.8%にも達しており、非常に優秀な数値だと思います。ただその中には既得権を鋭く切るような政策を推し進めるものもあり、アテにしていた勢力から反感を買ったのでは?と言われてます。
こういった流れを見て「優秀な人材があっという間に辞めていく職場」に通じるものを感じました。
斎藤前知事は、既得権益の地獄を浄化するにはあまりに正直で無邪気過ぎたのかもしれません。
問題行動とされた内容の多くは大の大人にしてはしょうもないレベルですが、合わせ技一本で揚げ足を取るには十分でした。逆に言えばそれぐらいしか突っ込みどころがなかったんだろうなとも思います。
改革を成し遂げるには強力な味方が必要です。知事の場合は県会議員だけでなく県職員が重要です。同じような改革派で安芸高田市の石丸元市長(都知事選で2位となり話題になった)は猛烈な改革を行い議会と毎日のように対立していましたが、少なくとも市職員は味方につけていたようで、議会が石丸元市長を失職させることは出来ませんでした。
一方、斎藤前知事は県職員に後ろから刺されたのですから助けようがありません。まさに単独で投入されたリーダーが何の支援もなく地獄の毒にやられた状況といえます。行動力がある方なのですが、もしかしたらちょっと空気読むのが苦手なタイプかなとも思いますので、再選したとしても味方がいない今までと同じ環境ならば再び厳しい運営を強いられるのではないかと思います。
改革を成し遂げたいならば、しっかりと味方を増やしてからにしましょう。