総務部長の黒田です。
ずいぶん昔にテレビの企画で運をよくする方法みたいのをやっていて、様々なゲン担ぎの方法や風水などを紹介していたのですが、番組の最後に日本の各分野の著名な学会に「運とは何ですか?」と質問したら、「運というものは定義できない。」「ただの確率でしかない。」「運がいいも悪いもない。」というような、まぁ、学者からしたらそうでしょうねという回答ばかりでしたが、どこか1つの学会が、「運とは確率論である。しかし、確かに運がいい人、悪い人というのがいて、現在の科学ではそれを解き明かすことはできない。」というような回答をした学会がありました。
ほかの学会と同じようなことを言っているようですが、他の学会は運などないだのただの確率だのと結論を出しているのに、この学会は確率論だけではない何かがあるが今は分からないと結論は出さなかったのです。
これを学会名で正式に回答してきたのですから、とても柔軟な思考ができる学会なんだなと感心しました。理論は理論として実際に起きている現象をしっかりと受けてめているのです。
以前、心理学の偉い先生の講演を聞いたことがあるのですが、質問時間に先生の提唱する理論にそぐわない例外的な例について質問した人に対して「なぜそんなことが起こるのかサッパリ分からない。私の理論にはそぐわない。」と、自分の理論に合わないからその例外の存在がおかしいなどと言って無視していて「現実から目を背けるな!」と、思わず突っ込みたくなりました。(笑)
我々はコンピューターを用いて何もかも理論や規格の中でしか動かない世界で仕事をしているわけですが、所詮は人間が作ったものなのでしばしば思いがけないことが起こるわけです。むしろコンピューターを規則通りに正しく動かすために人間がいろんな例外を受け持ってるのがIT業界なのではないでしょうか?
私が以前受け持ったシステムで発生したトラブルをハードウェアのメーカーに問い合わせたところ、「理論上そのような問題は起こらない」などとまったく現実を無視した対応をされたことがあります。
世界的な寡占メーカーなのでそういう傲慢もあるのでしょうが、それこそ現実から目を背けるんじゃない!ですよね。その後、手探りでなんとかそのトラブルが起きない方法を見つけて対処しました。
しかし、翌年に担当を引継ぐ時に、その件を念入りに引き継いだにもかかわらず、わずか2か月後に「念のためメーカーに問い合わせると、理論上そのような問題は起きないと回答が来た」という理由で、回避手順を省いて作業を行って見事にシステムダウンさせてしまったということがあります。
その彼は今でも仕事で付き合いがあり「黒田さん、仕事ないですか?」などと聞いてきますが、あってもあんたにゃ頼まんよ。
今後は理論や規格でやる範囲はどんどんAIなどで自動化されていき、人間はとにかく例外を何とかすることを求められるようになっていくのでしょうから、我々エンジニアは常に疑う柔軟な思考をもって取り組んでいかなければなりません。
ちなみに、イギリスで行われた運の研究で面白いものがあります。
自分は運が良いと答えた人と、悪いと答えた人の行動を追跡して何か行動に違いがあるのか調べたところ、運が良いと答えた人は悪いと答えた人に比べて、例えば、新聞を広告欄まで読んでいるとか街を歩いてるときでも周囲の景色をよく見ているなど、情報に接する量が異なるとのことでした。
これらは無意識に行われていることですが、要するに日頃から情報を多く収集しているので、それが蓄積していってチャンスに気づく機会も多くなり、結果として運が良いということなのだそうです。
これは自分ではどうしようもなく訪れる不運を説明する事はできませんが、少なくとも運を引き寄せることは日頃の行いの結果でできると言うことです。
上を向いて歩こう。