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日本昔ばなし 企業編 第2話 ロボットvs人間

むか~し むかしのことじゃった。

創業者である社長はよく夢を語る人で、社員はその夢に共感し実現しようと集まってきた人たちです。職場も社長と気軽に話ができる距離感の雰囲気で、自由な社風でみんないきいきと仕事をしていました。
業績はそこそこよかったのですが、出資しているベンチャーキャピタルはまだ数字に不満らしく、社長に対して夢を語るのは良いがもっと経営者としてガバナンスをしっかり強化して収益力を高めるべきだと指摘し、経営コンサルタントを送り込んできました。

ベンチャーキャピタルとしては、売り上げはあっても利益が少なく成長もしないゾンビ企業になって投資を回収できなくなることは絶対に避けたいという思惑があります。しっかりと利益を出してもらわなければ困るのです。

経営コンサルは早速ガバナンス強化として規則をどんどん作り、無駄だと思うことをどんどんカットして経費を節約し、社員には具体的なノルマを課すなどして締め付けを行います。社長にも夢みたいなことを語るのを禁止し、もっと社長らしく毅然とした態度を取るように言いました。当然社長は反発しますが、ベンチャーキャピタルの後ろ盾がある経営コンサルに勝てるわけがありません。すぐにお飾り社長となってしまい経営コンサルが実質的な経営者となりました。

その結果、翌年の経常利益が大きく伸びたのでベンチャーキャピタルは社長に対して経営コンサルのやり方を見習うように指示しましたが、社長はもうこれは自分のやりたかった会社ではないと辞めてしまいました。

経営コンサルがそのまま社長を引き継ぎましたが、コンサル社長が語るのは業績とノルマの話だけです。

社員が次々と辞めていき、急激に業績が悪化します。すると、ますます締め付けを強化するという悪循環に陥り社員がまた辞めていきました。
5年もすると社員のほとんどが入れ替わってしまい、社長に従順な言われたことはしっかりとやるが何も新しいものは生み出せない優秀なロボット社員ばかりになって業績も元の水準に戻ることはありませんでした。
かつては将来有望なベンチャー企業が、今やめでたく潰れはしないが伸びることもない低位安定のゾンビ企業となりました。

ああ、なんとおいたわしや…

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