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プロジェクトの中心で嘘を叫ぶ(1)

普段、恋愛小説などは読まないのですが、
「世界の中心で愛を叫ぶ」だけはなぜか読んだ総務部長の黒田です。

初めて大規模プロジェクトに参画したときに、とりあえず何とかしてほしいと渡された課題管理表には400件ほどの未処置課題が残っていました。
事業統括という立場での参画で、事業全体の進捗を促進させることが求められていました。
全部確認するだけでも気が遠くなりましたが、読み進めていくと、課題自体にはそれほど難しい案件はなく、誰かが音頭を取って取りまとめていけば解決できそうなものが多かったので、まずは取り組んでみることにしました。

早速、課題の主担当者にヒアリングです。
そのプロジェクトには1次下請けベンダーが10社以上、2次下請け含めるとその数は膨大です。直接顔を合わせるであろう実務担当者だけでも200人を超え、総勢だと1000人以上です。
いきなりで顔も分からないので担当者求めて三千里、手あたり次第に聞きまわります。

ようやく見つけた担当者に自己紹介しつつ、早速状況のヒアリングです。

「対応しなければならないのはわかっていますが、他社から情報提供が必要なので待っているところです。そういった事情により解決しないのはうちの責任ではないという認識です。」

情報提供の依頼はされているんですよね? → もちろん。

情報提供がされないのはなぜでしょうか? → さぁ?こちらでは分かりません。

相手方は状況を認識されているのでしょうか? → してると思います。

最後に状況の確認を取られたのはいつでしょうか? → もうだいぶ前ですね。

・・・分かりました、先方に確認して情報提供して頂けるよう働きかけます。

かなりスケジュールに追われている状況でみなさんとても忙しく、自分で完結できない作業は「相手待ち」を口実に先延ばししているという感じでした。
ほかの課題の担当者にヒアリングしても同じように相手待ちと主張している状態です。
それを踏まえて相手方にも確認すると、情報提供したいのはやまやまだが、欲しい情報について詳しい内容を問い合わせているが返答がないので提供しようがない。
やはり「相手待ち」という状態でペンディングにされていました。

結局は対応せねばならないことなので、時間が経つほどお互いに困ることになるのだから、もうちょっと積極的にできませんか?と思うわけですが、雰囲気がピリピリしていてそんな話ができる状況ではありませんでした。
更に、どちらの担当か厳密には決められないような課題に至っては、お互いに向こうの担当だからとそのまま手つかずになっており、これがストレスを募らせ結果的に意地を張り合ってるような状態になっているようにも見えました。
完全に没交渉。課題解決どころではないという状況に陥っていました。

私とて事業統括という立場で参画したものの、彼らと同じ下請け業者の立場ですので、なにかパワーを持っているわけではありません。
仮に元請けの偉い人だったとしても、やれと言って済むならこんな惨状にはなっていないわけで、しかも特殊なシステムでしたので、その仕様もまだ把握できておらず、分からない用語も多々あり初めてのことばかり。

色々な難題があいまって、早くもピンチを迎えることになったのでした。
(つづく)

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